【手描き友禅】好きなことを仕事にしながら挑戦し続ける

江戸時代中期から300年続く伝統文化の東京手描友禅。その技術を受け継いで作家として活動されている笠原以津子さんを取材させていただいた。

京友禅と並び、日本の三大友禅の一つである東京手描友禅。江戸時代に京都から友禅の技法が伝えられ、町人文化と共に発展。1980年から経済産業省指定伝統的工芸品に指定されている。京都や加賀では分業で行われているが、図案から仕上げまでほぼ一人で行うのが特徴の一つである。

異素材でも出来ないと言わずに挑戦してみる

元々絵を描くことが好きだったが、好きなことを仕事にしようと考えたときに手描友禅を知り、師匠に弟子入り。基礎を確立後に、一つの方法だけでなく、他の描き方も学びたいと思い、別の方の元で糸目友禅を学んだ後に独立された。

複雑な絵柄の場合、下書きをスケッチブックに描くこともあるが、下書きなしにサラサラと描いてゆく様はとても優美。あっというまに鮮やかな花や紅葉が描かれてゆく。体験教室では日本人だけでなく、海外からの参加者もいらっしゃるそうだ。

過去の作品では着物や帯以外にも有名なキャラクターとのコラボレーションや小物入れなど作品は多岐にわたっている。柄も和風な柄だけでなく果物のような身近なモチーフや洋風な柄など幅広い。中には顔料を弾いてしまいそうな素材も。

「描きづらくはないのですか?」と尋ねたところ「昔、呉服屋さんからの依頼の生地を、描きにくいですねと言ったところ、『プロならば何にでも描けて当然だろう』と言われて以来、どのような素材でもお引き受けすることにしています。」と着物地でなくても引き受けている理由を話してくださった。キャラクターとのコラボレーションのように新しいことに挑戦するのも、手描友禅の可能性を広げていくようで楽しいと話す笠原氏。

彼女にとって印象に残る作品の一つが、ご自分の娘さんが成人式の時に着用された振り袖。ピンクの振り袖に色鮮やかに描かれた花々は四季折々の花や誕生月にちなんだ花が盛り込まれているそうだ。

「『好きなことを仕事にするのは簡単じゃない』と言われますが、私の場合は好きなことが仕事になって娘の人生の節目にも活かされている。この仕事をやっていてよかったなと思えますね。」

本当に心からやりがいを感じていらっしゃることが伝わるその言葉に取材しているこちらも素晴らしい瞬間に立ち会っている気持ちになれた。

取材先

笠原 以津子 氏

荒川区伝統工芸保存会に所属。東京都青年の部卓越技能賞受賞。2014年7月パリ・ジャパンエキスポに出展。作家として活動しながら、手描友禅の講師も務めている。
http://itsuko.sakura.ne.jp/

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