【江戸つまみかんざし】時代にあわせつつ、伝統を繋げていく

江戸時代から日本人女性の髪に彩りを添えてきた江戸つまみかんざし。現在でも七五三や結婚式などで用いられ、和装をより引き立てる物の一つとなっている。1982年東京都伝統工芸品、1991年千葉県伝統的工芸品に指定された。

その江戸つまみかんざしを制作する際に用いられる技法「つまみ細工」を、従来の枠にとらわれず「つまみ細工を日常に」をコンセプトに、今の時代のファッションにも合う作品作りを行っているつまみかんざし彩野の藤井氏に取材させていただいた。

今の時代にあうものを今の時代の方法で提供していく

実は伝統工芸に関係なく大学まで過ごしていたという藤井氏。彼女が江戸つまみかんざしに関心を持つきっかけとなったのは大学在学中の海外経験だったそうだ。海外に行き、日本人として日本のことを聞かれた時に答えられない。日本人として自国の文化を海外に伝えられるようになりたいと思った時に、出会ったのが江戸つまみかんざしだったそうだ。

弟子入りして学ぶことを模索したこともあったが、叶わず断念。独学で学び、作家として活動していくなかで、どのようにしたら必要とされるものを提供できるのかを考えた結果、従来のかんざしだけでなく、ピアスやヘアゴムといった普段から使えるものを中心に制作するようになっていったという。

薄いシルクの生地をピンセットでつまんで、一枚一枚丁寧にすばやく花びらをつくっていく。文字通り「つまみ」ながら出来上がった花びらを土台につけて一輪の花になる。撮影ではちりめん生地で作成していただいたが、羽二重という絹地で作ると違った繊細な印象に仕上がる。素材によって同じ花を作成しても異なる雰囲気になるのも醍醐味の一つという。

自身が弟子入り出来なかったときに、それは今の時代に従来の師弟制度が適していないのではないか、と考えた彼女は作品だけでなく、その働き方も時代に合わせて変えていく必要があると考え、個人として活動するのではなく「つまみかんざし彩野」というチームとして活動。様々なライフスタイルの人たちがスタッフとして制作や活動を支えてくれている。

「昔ながらのやり方では限界があるから新しいやり方に取り組んでいく必要性がある。大切なのは技術が受け継がれていくことなので無理のない今の時代にあったやり方で伝統を繋げていきたい。」

伝統の技を守りつつ、それを繋げていくことを大切にしている彼女は伝統工芸士だけでなく、挑戦家でもあった。

取材先

つまみかんざし彩野

2005年「つまみかんざし彩野」の名で千葉県松戸市を拠点に作家活動を開始。2016年に「つまみかんざし彩野」を開業。2018年、千葉県指定伝統的工芸品「江戸つまみかんざし」指定。
http://kanzashi-ayano.com/

この記事を書いた人

JapanMade

JapanMade編集部

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