【東京三味線】三味線職人が箸づくり体験を提供する理由とは

歌舞伎など日本を代表する伝統芸能に欠かせない楽器の一つである三味線。その中で江戸で発達したものが東京三味線として、平成2年に東京都の伝統工芸品として指定を受けている。今回取材した向山楽器店店主の向山正成さんは、平成12年に伝統工芸士として認定されており、革を貼り材料を組み上げて仕上げることを中心に修理全般を行っている。

命を使わせてもらっているので無駄にしたくない

「三味線に使う木は硬くて削りにくい。だから削る作業に慣れることが重要です。お箸づくりというのは職人が最初にやる仕事なんですよ。」

貴重な材料を使用しているので、小さな端材でも無駄にしたくない一心で、箸づくり体験教室の開催や、ペンダントヘッドなどの制作もしているそうだ。少しでも多くの人に興味を持ってもらいたいという想いから始めた体験教室では、三味線職人が最初に行う【箸づくり】を体験することができる。今では多くの外国人観光客や、地元の小中学生が参加している。

彼は三味線の材料が全て枯渇し、最近では輸入も困難になったと嘆く。

「三味線の材料すべてが不足していて、特にインドでしか採れない紅木や紫檀は東南アジアから輸入されていたんですが、今はもうなくなってしまいました。植林した木では年輪がまっすぐすぎるから使えないんですよ。三味線の材料は手に入らなくなる一方です。命を使わせてもらっているから無駄にしたくないですね。いただいた命でしっかりと良いものを作りたい。うまく出来なかったときはとても悔しいですね。」

高校卒業と同時に初代、鉄夫氏に師事し、32才の時に東京都江戸川区平井にある向山楽器店の2代目店主となった正成さん。現在は新規の注文はほとんどなく、中古品を修理し安価で楽器を提供することに主軸をおいて営業されている。古いものだと江戸時代の三味線も店内にあり、彼の仕事が文化の存続の鍵となっていることが伝わってきた。東京三味線は作り手も、使い手も世代を超えて向山楽器店で受け継がれている。

取材先

向山楽器店

向山正成氏

1939年に初代が創業。1947年に復員した初代が平井で開業。1983年より2代目店主が三味線・琴の修理、その他和楽器の販売を行う。骨董品鑑定のテレビ番組で和楽器担当の鑑定士としても活躍。
https://www.mukouyama.jp/

この記事を書いた人

JapanMade

JapanMade編集部

日本のモノづくりを物語るJapanMadeです。

あなたへのおすすめストーリー

もっと見る